サントリーHDの新浪会長辞任について、これが正しい判断であったのかは立場によって異なりますし、捜査や司法判断もまだ完了していないため、現時点では何とも言えません。

ただし、ご本人のサントリーHDにおける貢献が大きかったことは事実であり、それがあったからこそ、今回は「解任」ではなく「辞任」をサントリーHDとして許容したのだと考えられます。

そもそもこの判断が可能であったのは、新浪会長がオーナーではなかった、言い換えると「会社の所有と経営が分離していた」点にあります。サントリーHDは未上場ですが、創業家が所有する寿不動産が株式の大部分を保有しています。株式会社の基本的な仕組みは、株主は会社の所有者であるものの、経営を行う意思も能力も持たないことを前提とし、その経営と監督をオーナーとは別の人間に委任する、というものです。これは、資金提供・経営・ガバナンスを1人で担うことが困難であることを踏まえ、リスクを分散しつつ大規模事業の経営を可能にした非常に優れた仕組みです。

この前提においては、オーナーである株主の判断により、経営の委託先を変更することができます。サントリーHDは、まさにこの状況にあったと言えるでしょう。

Regarding the resignation of Suntory Holdings Chairman Takeshi Niinami, whether this was the right decision depends on one’s perspective. Since the investigations and judicial determinations are still ongoing, it is difficult to make a definitive judgment at this point.

What is clear, however, is that Niinami’s contributions to Suntory Holdings were significant. This is likely why the company accepted his resignation rather than proceeding with dismissal.

The fundamental reason this decision was possible lies in the fact that Niinami was not the owner — in other words, there was a separation between ownership and management. Suntory Holdings is unlisted, but the founding family’s company, Kotobuki Realty, holds the majority of its shares. The basic framework of a corporation is that shareholders are the owners of the company but are assumed to lack both the intent and the capability to directly manage it. Management and oversight are therefore entrusted to others. This system — separating capital provision, business execution, and governance — is an elegant mechanism that enables large-scale enterprise while dispersing risk.

Within this framework, shareholders as the ultimate owners can change the management to whom authority is delegated. Suntory Holdings was precisely in such a position.

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