これは、前回の振り返りではありませんが、M&Aから起業のほうに視点を移してみたいと思います。この統計は事業者数の推移です。事業者数というのは会社、あるいは支店です。それから個人事業です。個人事業とは何か、皆さんはお分かりになりますか。意外に分かっているようで分かっていないことが多いです。商売を始めるときに必ず会社を作らなければならないわけではありません。

皆さんが起業しようとするときには必ず会社を作らなければならないわけではありません。この近所に八百屋さんはあまりないと思いますが、八百屋さんはそのほとんどが会社組織にはなっていないと思います。商売というのは個人でも問題なく行うことができます。それを個人事業といいます。もちろん税金は払わなければならないので、商売をするときには税務署に届け出をする必要があります。「ヤオゼンという八百屋を始めますので、よろしく」ということで、必要事項を書いて税務署に提出すれば、それで商売を始めることができます。しかし、一般的に会社を作らないで商売を始めると、「個人でやっておられるのですか」という具合に、取引先から痛くもない腹を探られるなど、形式基準で取引先として選定されないことがあるので、多くの場合会社を作りますが、会社を作らないケースもあります。僕は公認会計士なので、会社を作っている、あるいは個人でやっているということで取引先から信用度を図られることはあまりありません。

それで初めは個人で起業しました。例えば、会計士、税理士、弁護士などは皆、何とか事務所というような名前になっています。また田中丸法律事務所、大原公認会計士事務所、あるいは鈴木イチロー税理士事務所などという名称もよくあります。それらのほとんどは株式会社ではありません。彼らは会社を作ることで信用力を付ける必要がなく、その資格、あるいはタイトルである程度の信用力があるのでわざわざ面倒なことはせず、個人で仕事をしています。これを個人事業といいます。それができるのであれば、そのほうが必要資金が少なくてすみます。ただ実際には会社を作らなければ、口座が開きにくく、取引しにくいということがあるので、独立したときに会社を作るケースが多いです。

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