ここで申し上げたいことは、それが大事なのです。20年前から何かをたくらめということではなくて、いつでもどこかの会社を買収できる準備をしなければならないし、逆に、いつでも売れるような状況にしておかなければいけないのです。日本のM&A、特に会社を売る売り手のほうですけれども、全然準備できていません。もうめちゃくちゃです。

開けてみれば組織文書も会計帳簿も契約関係もむちゃくちゃで、本当に、いったいいくらもうかっているのかは誰も分かりません。「税理士に聞いてください」と言うけれど、税理士だってそんなのは分かるわけがありません。税理士が悪いと言っているわけではなくて、社内でまず分からなければ外部の人には分からないです。

ですから、全然、売るほうも買うほうもReadyになっていないです。準備不足だというのが、今の日本のM&Aの状況です。でも、少し勢いのある人はやってしまいます。その結果、うまくいかないというのが非常に多いです。ですから、常に準備をしておかなければいけません。

長い目で見て、皆さまのお客さまにいつかM&Aの提案ができるのかできないのかは分かりませんけれども、ちょっと始めて2カ月後ぐらいに何とかしよういうよりはもう少し長い目で見て、大きな政略、あるいは会社の全体像を見てここが欠けているとか、この事業はどう考えてもこの会社には無理だというところで、M&Aが一つの選択肢になります。買ってもらえるものだったら、いくらでもいいから誰かに買ってもらった方がいい。このまま赤字を垂れ流していくくらいだったら、ただでもいいから引き取ってくれるところがあったら引き取ってもらうというのも、一つの手ではないですか。

あるいは、ある地域がとても弱くて今まで何回進出してもうまくいかないのだったら、場合によってはどうしてもそこの地域に出なければいけないのだったら、そこで繁盛している会社を買ったほうがいいですよね。そういうふうに、個別に具体的にここをやっていこうということをはっきりしてあたっていくという作戦を取らないと、M&Aというのはなかなかうまくいかないかもしれません。それをやっていけば、もっと日本のM&Aはいい方向に向いていくと思います。今は、極めて受け身です。それが中国でうまくいっている企業との対比で考えると、よく見えてきます。

M&Aに対する誤解、イメージと一方的に書いてしまっていますけれども、あまりよくありません。非常に、ポジティブではありません。日本のM&Aは、「M&Aをします」となると株主が騒ぎ出したり意義を出したりします。

最近の事例で言うと、PGMというのはご存じでしょうか。Pacific Golf Managementの略です。パシフィックゴルフマネジメントという会社がアコーディアという会社を買収しようとして失敗しています。この会社は両方ともゴルフ場の経営をやっていますが、それだけではありません。

本誌は、M&Aを売り手、買い手、アドバイザーが三方良し、となるのが当たり前の世界の実現を目指しています。そのためには当事者が正しい情報を得て、安心して相談のできる場が必要です。その実現に向けて本誌は、日本M&Aアドバイザー協会で、以下のサービスやセミナーを提供しております。