丸紅が765億円で買収したカナダの石炭事業を１ドルで売却すると報道されている。石炭事業であれば、設備を含めたかなりの資産があるはずで、それを１ドルで売却するということはどういうことだろうか。

まず、タダではなく、１ドルで売却する理由はいくつかある。タダで売却してしまうと、金銭のやりとりがなくなり、取引が実行されたという証拠がなくなってしまう。１ドルを振り込むことによって誰がみてもこの取引がされたことを確認できるようにしている。

それでは、膨大な資産があるはずの石炭事業をたったの１ドルで売買する理由としては、毎年赤字がかさんでおり、譲渡を受けても今後赤字が予想されることがある。買った瞬間から赤字が続くわけなので、１ドルで買ったといってもかなりの損失負担をする見込みだから、資産は膨大にあっても１ドルで売却せざるを得ない。

もう１つは、１ドルで売却するが、その対象会社に借入が存在する場合だ。１ドルで買ってもその会社に借入が多額にある場合、買い手はその借入を返済していかなければならない。

このような背景から、非常に大きな資産を持つビジネスが１ドル、あるいは１円で売却されることがあるわけだ。

大原 達朗 Tatsuaki Ohara@ohhara_cpa

丸紅など：カナダ石炭事業を「１ドル」で売却へ、765億円の買収案件 – Bloomberg http://t.co/jIYOzW4Wv3

2014/10/02 06:05:27

 

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