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これこそM&Aの醍醐味、PER、EBITDA倍率では計れないソフトバンクによるARMの買収

これまで、アリババを含めた保有株式の売却を進めていたソフトバンクですが、ARMを3.3兆円で買収するためのものでした。

対象会社のARMは半導体の設計会社で、スマフォの通信用半導体の9割以上に同社の設計がかかわっているということです。今後、携帯電話といったインフラから、ハードの上流である設計企業に一歩ビジネスをすすめることになります。半導体の設計かつファブレス企業は、うまくいけばキーエンスにも代表されるように恐ろしいほど高い利益率を出せるビジネスです。

ところで、本件の詳細はソフトバンクの説明資料に詳しいですので、ぜひご覧ください。

買収金額の3.3兆円のうち、2.3兆円は手元資金で、残り1兆円を借入れで調達するようです。すでに2.3兆円のキャッシュを用意しているのは半端ではありません。総資産20兆円中、11兆円が有利子負債であり、まだまだ借入れの多い財務体質の中では、多くの自己資金を用意する必要があったのでしょう。

対象会社の直近の売上高は約1,800億円、純利益が578億円です。買収金額3.3兆円で考えると、PERで57倍です。直近の純利益で買収金額を回収するには、57年間かかるということです。ソフトバンクはもちろん57年間かけるつもりはサラサラなく、一気に回収する絵を描いているはずです。これこそがまさにM&Aの醍醐味であり、売り手、買い手にエキサイティングなものです。既存の利益ベースだけで、EBITDA倍率の何倍が相場、などと考えることも大切です。しかし、実際には売り手が想像もしないような、想像してもとても実現できそうもない構想を描き、実施することで得られる膨大な利益をベースにバリュエーションがされるのが理想でしょう。楽なプロセスではありませんが、今後、後につづく企業のためにも、ソフトバンクには本件でもよい結果を出してほしいと考えます。

また、こういったディールが成約するのも、トップがコミットしているからでしょう。こんなディールをボトムアップで検討していたら、時間がいくらあっても足りませんし、誰も責任を終えないと尻込みするでしょう。なぜウチにはよい話が来ないんだ、担当者は何をしているんだ、とご不満をお持ちの経営者の方がいらっしゃるとすれば、まずはご自身がどれだけ動かれているのか、見直しをされることをお勧めします。

 

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