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東京エレクトンとアプライドマテリアルズの経営統合破棄は情報操作だったのか?

このブログでもとりあげた。東京エレクトンとアプライドマテリアルズの経営統合が中止となったと報道されている。主導権争いがその原因にあったなどと報道する向きもあるが、それはありえないだろう。

まず、東京エレクトンの本件に関するリリースを引用しておこう。

理由は、米国の司法省とアプライドマテリアルズの意見の相違となっているが、要するに今回の統合につき、許認可がおりなかったということだ。その背景に、両社の主導権争い、あるいは情報操作によって株価をつりあげる意図がなかっただろう。もちろん、契約締結までは両社の駆け引きはあったに違いない。

しかし、本件はすでに契約が締結されており、その後にできることは限られている。すでに主導権に関する事項は決まっていたはずだ。また情報操作についても、誰かが稼ぐとすれば、本件をすべて知っている内部関係者が経営統合のニュースが出て、株価があがる前後で株を大量に売買しなければならず、大規模にこれを実行した者があれば、すでに調査されているはずだ。

では、なぜこんなことになってしまったのか。ビジネスを続ける際に、許認可が必要なビジネスがある。ソフトバンクがスプリントを買収した際にも許認可の問題をクリアするのに、相当な時間がかかった。そして、許認可を実際にとれるかどうかは、正式に監督官庁に申請をするしかない。M&Aについては仮の話では埒があかないため、今回のように契約を締結してから申請をするしか、実際に許認可を得られるかどうかはわからないのだ。

一方で、契約をしても許認可を得なければビジネスができないわけであるから、もし、許認可が得られない場合には、これを解約する条件を事前につけておく必要がある。

今回は、経営統合の契約は締結したものの、クロージング(最終決済)の条件である許認可が得られず、結果として破談になってしまったと考えるのが自然だろう。

○東京エレクトロン株式会社とApplied Materials, Inc.の経営統合契約の解約及びTELジャパン合同会社との株式交換の中止に関するお知らせ
http://www.tel.co.jp/news/2015/0427_003.htm
***以下、引用***

 東京エレクトロン株式会社(代表取締役会長 兼 社長、CEO 東哲郎)(以下、「東京エレクトロン」)は、本日開催の東京エレクトロンの取締役会において、Applied Materials, Inc.(以下、「アプライド マテリアルズ」)との間で両社対等の経営統合(以下、「本経営統合」)を実行するための経営統合契約(以下、「本統合契約」)を解約し、TELジャパン合同会社(代表社員 東京エレクトロン)との間の、TELジャパン合同会社を株式交換完全親会社、東京エレクトロンを株式交換完全子会社とする株式交換(以下、「東京エレクトロン三角株式交換」)を中止することを決議いたしましたので、お知らせいたします。

 東京エレクトロンは、2013年9月24日付「東京エレクトロン株式会社とApplied Materials, Inc.の経営統合に関する合意について」、同年10月2日付「(追加)「東京エレクトロン株式会社とApplied Materials, Inc.の経営統合に関する合意について」の一部追加について」及び2014年2月15日付「東京エレクトロン株式会社とApplied Materials, Inc.の経営統合のスキーム変更について」(併せて以下、「経営統合関連開示済資料」)においてお知らせしておりますとおり、アプライド マテリアルズとの間で本経営統合について合意し、本統合契約を締結しておりました。
 そして、2014年5月14日付の「東京エレクトロン株式会社及びApplied Materials, Inc.の経営統合に向けた東京エレクトロン株式会社及びTELジャパン合同会社の株式交換契約締結に関するお知らせ」及び同年5月28日付の「(訂正)「東京エレクトロン株式会社及びApplied Materials, Inc.の経営統合に向けた東京エレクトロン株式会社及びTELジャパン合同会社の株式交換契約締結に関するお知らせ」の一部訂正について」(併せて以下、「東京エレクトロン三角株式交換関連開示済資料」。経営統合関連開示済資料及び東京エレクトロン三角株式交換関連開示済資料を総称して、以下、「本開示済資料」といいます)にてお知らせしておりますとおり、東京エレクトロンは、東京エレクトロン三角株式交換を行うことを内容とする株式交換契約(以下、「東京エレクトロン三角株式交換契約」)を2014年5月14日付で締結しており、2014年6月20日開催の東京エレクトロンの定時株主総会にて、東京エレクトロン三角株式交換契約を承認する旨の決議をしておりました。
 しかしながら、下記の理由により、本日開催の東京エレクトロンの取締役会において、本統合契約を解約し、東京エレクトロン三角株式交換を中止することを決議いたしました。

1. 本統合契約の解約及び東京エレクトロン三角株式交換の中止の理由
 本開示済資料にてお知らせしておりましたとおり、本統合契約及び本経営統合の一環として行われる東京エレクトロン三角株式交換契約には、適用される競争法に基づく関係当局の承認等、クロージングのための各種の前提条件が定められておりました。
 かかる前提条件を充足するべく、各国競争当局との協議を重ね、東京エレクトロン及びアプライド マテリアルズは、「グローバル・イノベーターとして革新的ソリューションを顧客に提供する」という本経営統合の目的を損なうことなく、適用される競争法に基づく関係当局の承認を得るべく、誠心誠意努力を続けてまいりました。しかし、東京エレクトロン/アプライド マテリアルズと米国司法省との間に認識の違いがあり、この解決の目処が立たないことが判明しました。
 このような状況から、両社で改めて慎重な協議を重ねた結果、東京エレクトロン及びアプライド マテリアルズは、本統合契約を解約することについて合意するに至りました。その結果として、本経営統合の一環として行われる東京エレクトロン三角株式交換についても、中止することとなりました。
両社ともに本経営統合の実現に向けて最善の努力を尽くしたうえでの結果であり、誠に遺憾ではありますが、何とぞご理解を賜りたく存じます。

2. 業績に与える影響
 現時点における東京エレクトロンの2016年3月期の連結業績予想は、本日開示の決算短信記載のとおりでございます。本統合契約の解約及び東京エレクトロン三角株式交換の中止の影響も含め、今後業績予想の修正が必要な場合は、速や
かにお知らせいたします。
 株主の皆様、お取引先様、その他多くの関係者の皆様におかれましては、引き続きご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

***引用、ここまで***

 

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